ENo.0649　アキラ・ハリアエトゥス

それは、俺からすれば突然のメッセージだった。

トラックの荷台の上のプレハブでシャワーを浴びようと湯を沸かしていた時、通信機が広域通信を受け取った。


『…………ハイドラ大隊の諸兄、届いているだろうか。リー・インだ。
　健在を心より喜ばしく思う。今日は、頼みがあって広域通信を飛ばしている。』
『端的に申し上げる。協同の依頼だ。
　腕前と積極性に覚えがある者を募り、禁忌の集中する主攻正面を強襲突破、
　以って新体制によるハイドラ大隊殲滅を頓挫させイオノスフェア攻略を円滑ならしめる。』
『”力”と”意志”が必要だ。規模の関係上集中攻撃の意図の秘匿は不可能だ。全力で対抗されるだろう。
　当然、危険な戦場となる。力無き者は生き残らない。意志無き者は役に立たない。
　全てを押し退けて挑むなら、その理由が何であれ。金であれ名誉であれ、他人には理解の及ばぬものであれ。
　俺達は、君達にこそ協力を請いたいと思う…無論選別するが。連絡を待っている。』
『…ギルデンロウ、後はお前の仕事だぞ？』


リー・イン。名前は聞いたことがある。腕利きのライダーだと。
それに通信が切れる直後に聞こえた名前……ギルデンロウといえば、全ライダー中でも屈指のビッグネームではないか。

トップクラスのライダー二人からの依頼。しかもこれは、まるで挑戦状ではないか。
「お前は力と意志のあるライダーか？」と、こちらを焚き付けているのだ。

無論、意志はある。力は……ある、と思いたい。
それにこうも煽られては、黙って静観している訳にはいかない。
恐らく、腕利きのライダーが集まるのだろう。その戦線に加わり、禁忌を含む敵の大部隊を強行突破する……
別に好戦的ではないと思っていたのだが、ここまでの大規模線となると気が昂ぶってくる。
ひょっとすれば、規模自体は本命の要塞戦以上になるのではないだろうか。

……当然ながら、被撃墜のリスクも大きくなる。僚機とはしっかり相談しなくてはならない。
万が一断られたら……まあ、俺一人でも行くとしよう。

そして俺は通信機を立ち上げ、僚機へのメッセージを用意する。




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正直、俺は自分がさほど強いライダーだとは思っていない。
比較対象が悪いということもあるのだろうが……並よりは上、程度だと思っている。

今回の依頼に共鳴したのは、その目的にでもあるし、挑戦に乗ってやろうという気持ちでもある。
しかしそれ以上に、最高クラスのライダーたちが集まる戦場で、自分がどこまでやれるのかを見定めたいのだ。
俺の、“パンディオン”の翼はどこまで飛べるのか。

それを、探しにゆきたいと思う。

ユニオンに加入していたほうがいい、と聞いたアキラ・ハリアエトゥスが設立したユニオン。
正式に届け出は出しているがメンバーは一人であり、いわゆるペーパーユニオンである。

加入希望者は一応募集しているが予定はない。