ENo.0034　アンフィニ&許多

専属ライダーの皆で、遺言は用意しているのかという話題になりました。

今の家族は全員がハイドラライダーなので、いつ事故や被撃墜で会えなくなるかわからないです。だから、家族みんなで常々もしもの時のことを考えています。
家族の誰かが欠けた後、葬儀はどうするのか。
収入はどうやって得ていくのか。遺った者は、どう生きていくのか。

もしサビラさんや私が完全に破壊されてしまったら、兄さんはどうなるのでしょう。
兄さんはとても悲しいことや辛いことがあると、（セヴィラル姉さんほどではないですが）かなり自棄になってしまうきらいがあります。後を追うというのは少し違うのですが、悲しむあまりに色々なことが疎かになって自滅するような結果になりはしないかと思うと、恐ろしいです。

兄さんと私の名前は、どちらも「数えきれない」「無限」を意味します。
私達はきっと後に栄えていけという期待のもとに、生み出されたはずなのです。自滅や自殺など私は望みません。
そのためにも、私は兄さんをお見送りするまで、絶対に死なないと誓うのです。



私は一度、遺言を兄さんに言い残して死にかけたことがあります。
そうしたからこそ今私達は生きているのですが…もう二度とやりたくありません。

残像領域に来る、少し前のことです。

「こんにちは！セクション1の攻略が済みましたね！」

「皆さんの各企業ブロックでの活躍、本当にありがたいです。新製品のアイスも好評らしいですし。」

「ところで……そちらのえびさん？はどうやら5年前のデータにもいらっしゃるようで…えびっこさんと言うのでしょうか」

「よろしくお願いしますね！」

カメラを近づけ、モニター越しに手を振った。