ENo.0160　Strav Quasar

生きざまって奴は難しいな。
らしくもないが、哲学的なことを少々。

火って形容されるやつはだいたい有限なんだよな。それも命が典型だろう。死までのリミットを燃やして生きて、運が悪けりゃ吹き消される。
でも、みんな同じ火なのに燃え方ってのは違うんだよな。
火のような生き方、理解はするが固執するものでも無いんだろう……そんな風に今思った。あれは熱く燃え盛るようなって形容表現だろうが、そもそも誰しも命燃やしてるんだ、種火もキャンプファイヤーも等しく火だ。
ただ熱く燃えて、そのままフッと消える……ってのは嫌だな。ああ。その火は何かの役に立ってるかって。
ま、アイツもいい加減に分かってるだろ。私は部外者、アイツはそもそも当事者だ。

火は、多数の要因によって燃え方も変わる。
燃料の質、量、周囲の温度、風速、湿度、ざっと挙げられるのでもこれだけある。こいつらが100%一致するのは不可能だし、そいつは命って火でも同じだろう。
持って産まれた性質って奴は違う、ともすれば種族だって違う。自身の周りにいる奴らも違うし生まれる環境も違う。同じ＂火＂でも違う火なのはこういう事だろう。
私はこっちに来て、＂周りの温度＂が変わって、色々と考えを改めたり見直したりする機会が増えたな。なんていうか……いかに自分が馬鹿か、本当は寂しいのか、思い出せた気がする。

そもそも生き方がどうのとか考える時点で、満ち足りてるならそう考える余地もない、つまりは満足し切れてねぇんだって気付けばいいのにな。
ここ数年くらい、ずっと孤独感はあった。大人にもなって寂しいだとかは自覚したくもなかったから……正直知らんふりしてやっと気付いたって所だが。だって、恥ずかしいだろ。
だからかね、ガキは好きだ。可愛いものは好きだ。機械と、そして闘いが。ガキはこう、わかりやすいんだ。飾り立てるってのに慣れてない、だから。可愛いものは頭の中の余計な考えを押し退けるし、機械ってのは私が手をかけたようにしか動かない。闘いは、剥き出しの闘争心でぶつかれるから。
そんでココ最近で好きなもんが一つ増えた、ここだ。

……寂しいんだよ。
こう、なんて言うか、ココ最近周りの温度が上がってて自分の火みたいなのもようやく燻って消える所を逃れたってのに、このマノ社ってところが冷えつくのは嫌だ。
気付いてるか？お前っていう奴はここのムードメーカーなんだよ。お前っていう火は、随分とこの社を暖めてるんだよ。
マノ社の面々の事を家族って言ったろ？そいつには私も同意する。親の無い私にとっちゃ、同じ釜の飯を食う奴は家族だ。

生きろ。……おっと、だが祈りはしないぞ？祈ったら手が塞がる。向こうはダンスを所望だ、手が塞がったら踊れんだろ？
私はなにも出来ん。が、運のいいことにあのにーちゃんと同じ戦場だ。ルオルカ……彼を送り届ける。餅は餅屋、ハイドラ狩りは彼に。

健闘を。

「なんかハッキングみたいなのが来てて……誰か不正アクセスでもしました？あんまり害意なさそうだからいま頑張って対処してるんですけど」

ノイズとエラーメッセージの入り交ざった画面の中の宿禰がウイルス？型の敵と戦っているような映像が流れる（見た目より余裕そうであるが）

「ちょっと～！えびっこちゃん挟まないで～～～～」

画面はバグバグ、端末はえびっこちゃんに挟まれて大変そうである。

「あ、大事そうな話はそっちの小型の端末の方からするので……」

と小型端末の方の「すくねくん」を指さした。