ENo.0047　『Unterlegene』

隣には出撃で攻撃を受け装甲が滅茶苦茶になった『梔子』が。
それを見ながらリリアナの手によって軽い治療を受けているヤシロ。

それとなく覚悟はしていたが、バイオコクーン戦は危険な戦場となった。
電磁波の上がり方が尋常ではなく通信がよく切れてしまったりもしていたし、
なによりバイオ兵器の動きがたいへんにたいへんだったのである。

なんとも言えぬ空気であった。

「…機体もかなり頑丈になったものね
　うーん………でも…やっぱり無事に帰るって難しい…ね…」

危険な戦場となれば当然のことかもしれないが、どこも増援要請がかかっていた。
増援要請を受理する決定権は此方にはない、なので常に僚機先次第だった。
かかった要請は3件。

…全承認だったのである。

頑丈な機体であるほど霊障にはめっぽう弱い為、重量を多少考慮した整備を行った。
とは言え長期戦が連続で続けばいずれ何処かは綻ぶ、最終的に撃墜されてしまったのだ。

「状況が状況だしなあ…多分あの段階だとまだライダーは寝てるはずだろうし…
　向こうの代表が決定権を持ってるならまあ…うん　深入りは止めておこうか
　
　俺は少し打ち身したくらいで…むしろよくこの程度で済んだなってくらいだし」

*beep*

『っす　ヤシロ大丈夫っすか？
　損傷個所をざっと調べたんすけど装甲がほとんどで…あとは脚が少し怪しいっすね
　装甲はともかく脚は…いいのが無さそうなんで調整して誤魔化すしかなさそうっす』

「これもまあ…仕方ないか…いや　装甲も脚も直すのは慣れてるから大丈夫だ
　買い直した方が楽なのかもしれないが…」

「本当に大丈夫なの？
　整備は兄さんも協力するけれど…体調とか」

「うーん…間に合わせるよ　流石にセクション攻略に出ないのは…
　なんとなく　目の前で見届けないといけない気がする」

「…そう」

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『でもちょっと意外っす
　あの撃墜で割とトラウマになったんじゃないかと思ったんで』

「えっ…あー…うん　でも…なんか全承認された瞬間…ちょっとだけなんだけど」

「高揚か恐怖かわかんないけど…笑った自分がいたんだよな…」

―5年前、とあるハイドラライダーが拠点としていたガレージ。
現在はリリアナがガレージの所有権を持ち、ヤシロと相談した結果…宿泊施設に改装予定だった。
改装中の所へ遺跡出現のニュース、
途端に建設業者が別の仕事を捻じ込まれて改装は中止されちぐはぐな拠点になってしまった。

半分がハイドラを整備するガレージ。
半分が宿泊施設の客間や家具も何もない部屋がいくつか。
サボり…もとい休憩所として使われている様だ。