ENo.0053　ミヅカ・クルーガー

ドゥルガーの素体中枢に潜りこみ、それぞれのコントロールユニットを破壊し――


「そろそろこの戦争も佳境ってところか」


そして終わったらハイドラライダーを引退……私は免許返すつもりないけれど
一人だけ返さなかったらバルトがなんか言ってきそうではあるな。
ただ、こうやってランキングまで出てくるような戦争に参加するつもりは余程のことがない限りはない。
だからなのか、いや、多分理由は違う
本物のバルトがちゃんと僚機として傍にいるからだろう。


「……なあ、バルト」

『ンだよ、作戦会議ならもうしただろ？開始前のアセンブルの確認かなんかか？』

「名乗ってもいいか？」

『何を』

「本名」


突然の言葉にバルトが流石に無言になった。
今頃言うのもどうかしてると思う、今まで『ローデット・ダイス』として活躍した奴が
名前を変えてどうするんだと。でも

『突然何言い出すかと思ったら……ったく、仕方ねえな』

「サンキュー」

『きちんと守ってやるから頼りにしてろ！』

「言われなくてもそうするよ、バルト」


知ってるか？私、お前が戻ってくるまで違う世界のお前を名前で呼んでねえんだよ。
それだけ本物を頼りにしてるってこと……まあ、言わねえと分からねえよな。
終わったら教えてやるよ。
なんて、一つ笑っていたらバルトから通信が入る。

『っ、おい！ミヅカ！？』

「なんだよ、『本名』だろ」

『一度でもちゃんと名乗ったことねえだろ、テメエ……』

「いいよな、僚機だけの関係じゃないだろ、私ら」

『お前ミッション終わったら覚えとけよ！』

「はいはい」

それは地中に出来た、真っ直ぐに伸びる洞窟のような空間だ。

一つ明かりを付けたのなら、きっと貴方はそれが人工のトンネルのようなものだと気付くだろう……そう、丁度中型のハイドラが通るほどの。

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