ENo.0052　ギベオン

　一度は片付けたのに、また室内が散らかっている。

「ギベオンさ～ん、そろそろ此処もお払い箱なんですからキレイにしときましょうよう」
「忙しい」
「えぇ……」

　まあ確かにああ見えてデスクワークもきっちりこなしているし、様々な人脈を持っているため多忙なのだろうけど。しかし酒も薬も出されっぱなしでは堪ったものではない…

「(壁に空けたこの穴、誤魔化したまま帰っても良いのだろうか。)」

　壁の不自然な位置に不自然な板が貼られている。此処から漏れ出る外気が寒いのなんの。ギベオンが蹴った?刺した?とにかく穴を空けてしまったのだ。

「俺のツレがよう、人間なんだよ」
「にゅ?(なんか話が始まったぞ)」
「ひねくれものがどう前後したか判らんが、人成らざる者が好きな孤児だ。ネヴネイリーザって奴」
「はあ、なるほどだからギベオンさんのツレ…
(名前だけじゃ男か女かわかんない…)」
「ああ、俺が最も気を許してるがそういうことだ。そして『そんな異形好きなら改造手術受けてみるか?』って冗談半分で言ってみた」
「じょ、冗談半分でそんなこと薦めないで下さいよ!? 改造手術って負担が凄いから人間じゃ耐えられないんでしょ?!」
「あいつはそれを知った上で、丁重に断ったんだ。なんて言ったと思う?」
「えっなんだろう…」
「『俺は異形は好きだけど、無理して異形にならなくてもいい。感情…心っていうのか?そういうの亡くしたらタダの化物になっちまう。そうなったら俺もお前も面白くなくなるだろ?』ってな」
「へえぇ……」


「……なんか、ギベオンさんの周りの人ってまともな人ばかりなんですn」
「あ"っ?! 今なんつった!!?」
「にゃ、にゃんでもないですー!!!!」

　クイックドライブ! 以下略

此処には肉体のアセンブルがおかしい奴がいる