ENo.0163　鳥瞰するメーテルメテルカ

最近、変な夢を見る。

異世界で、ロボットの乗り手として日々戦ったり、戦友との仲に一喜一憂したり、といったもの。

夢としては、とてもよくある形だ。

だけど、毎日のように同じような夢を見るなんて、こんなこと……

睡眠障害持ちの人なら共通の悩みなのかな。

適当なワードを検索エンジンに打ち込んでみるも、それらしい情報はヒットしなかった。

あ、……いまクラっときた。また発作だ。いそいで、

りたりんを……てに………

──暗転。



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唐突に、不快感で目を覚ました。

背中の感覚がない。
それに、なんだか頭を弄られているようで気分があまり宜しくない。

ああ、メンテナンスまだ終わってないんだ。

機体前方に、生体反応二つ。赤外線視力からマテリアルベルト社所属の研究者、
顔見知り──正直嬉しくないけど──だと判明。

首を曲げて、脇の下から向こう側を見やれば、
ぶっといコードが一本、背中に刺さっているのが見える、──はずなのだろう。
記憶もあやふやな昔、かつてと同じ生身の体であったなら。



『こんばんは　ライダー：メーテルメテルカ
　まだ　朝には　少し早いですよ』

わたしの動きに気付いたか、『ディアーチル』のライダー用インターフェースが話しかけてきた。

そっちこそ寝てればいいじゃないか。

『ナビゲートシステムに寝ろ　だなんて
　寝言はやめてください』



適当にあしらって/あるいはあしらわれて、ミニチュア操作モードを起動。
機体と同じ形のホログラムが目の前の空間に浮かび上がる、
すかさず外付けカメラをパチンと指で弾いて起こす。

外の風景を、可視光線で眺めてみる。

外付けカメラを動かしたことでようやくこちらが覚醒したことが伝わるんだけど、

……伝わるはずなんだけど。彼らは目の前の仕事をこなす方が大切なのか、まったく意に介さない。

マテリアルベルト社製服の真っ黒なヘルメットの奥は、相変わらず表情が読めなかった。



あーヤなおじさんたちだね、ナビの方がまだずっと愛想ある。

……早くバラックに帰りたい。

壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが……無い。何処かへ消えてしまったかのようだ。
ある一人の幽霊が、それについて聞かれるとニヤリと笑う。




「どこだと思う？メテルカならわかんじゃねえかな。」