ENo.0311　セティア＝ラムサス

《？？？》

いつも通り、自身に課した『任務』に区切りをつけてコクピット内で気分転換を兼ねた珈琲を嗜む派手な髪色の竜人が一人。

… とはいえ、その任務の進捗は芳しいとは言えないものだが。
ついでに、珈琲もあまり美味いものではない。

「… はぁ… どうにもきなくせぇな。
アルラウネやらにも影響が出てんのか？

何だァ、良からぬ事が起こる気しかしてこねぇ。
色んなトコが暗躍してて、オレにも調査しきれねぇよ…」


遅々として後手に回らざるを得ない状況に、愚痴ばかりが飛び出してくる。

気分を変えようと、『兄弟』に頼んで飛ばしてもらったドローンの記録映像を再生する。


「さぁて… アイツは上手くやってっかな？
傭兵に誘っちまった手前、影ながらでも面倒はみてやらねぇとな。
さすがに毎回って訳にはいかねぇが、と…」


映像は、あるライダーの戦闘記録だ。

上手い具合に戦っている様にも見えるが… … 何だか、妙だ。


「ぉー、上手い具合に戦ってんな。上達し…

… … ぁん？

何だ、妙に反応が遅れてやがるな… 前には、あんな動きは見せなかったぜ。
それに、そうだ… 動き自体がぎこちないっつーか… 何だ？」


… 思わず、首を傾げる。

何かしら、不具合が起こっているのだろうか。
彼女にはサポートAIが付いていたので、問題ないと思っていたが…


「… … 何だか、心配だな。
近々、ちょいと様子を見に行ってやるか…」


少しばかり胸騒ぎを覚えた彼は、そう心に決めるのだった…




＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝


《日誌-10》 セティア・ラムサス 記



な、なな…


なん　とか…　手動制御でも、生き残れました…！！


けれど、こんな状況が続いていつまで生き残れるか…


アキラさんにも、迷惑を掛けてしまいます… … どうしたら…？


何か、技術者の伝手を探さないといけないかな…


あぁ…　どうしよう、怖いです…　ああ…



でも、戦場に出る以上…　気落ちはしてられないです…



ついでに言えば、整備もIp-OSがいないとこんなに大変なんですね…　へとへとですよぅ…



こんな状況が続いたら、本当に身がもちません…　ううっ…



…　…　整備に疲れたので、今回は早めに休みますね？


って、私…　書き物なのに、毎回誰に話し掛けてるんだろう…？？



あっ、でも… レニさんとかサー・リーブラとか… 皆さんとの会話は… 和みますね。

それだけが心の支えというか…


私って案外無趣味だったんですね…

知らなかった…orz




せティ、生き残って…　ふぁいと。



つ、次はデバステさん…　手動制御戦闘なんて、やだぁぁーー！！



…　… 僚機だけは…　アキラさんだけは何があっても… 守ります…



私のせいで何かあったら、一生死んでも死に切れませんから…！

移動型ガレージ。
この手の機種は本来、フリーランサーの稼ぎでは手が届きにくいとされている。
設備も上質な品が揃っており、これを調達するための金の流れに妙なものを感じるかもしれない。