ENo.0311　セティア＝ラムサス

《？？？》


機体と自身、共に休ませながら軽く携帯式情報端末に目を通す。


「… ほぉ？
結局、遺跡の探索に残ったのはあの時の…

いや、少し多いなァ。あの時は聞かなかった企業が混じっているか」


端末を持つのとは反対の手で、金属製のカップを手繰り寄せ持ち上げる。
そのまま、冷え始めた中の苦い液体を口に放り込む様に飲む。

…少し、顔をしかめる。
それほど、美味くはない。

溜息と共にカップを雑に置き、小さく呟く。


「今更ドゥルガー素体かよ。
あんなモン… またやらかしたいのか、企業の連中は。

あのオッサンなら、まだ物分りはよかったぜ」


先程の液体の様に苦い気分のまま、再び端末に目を通す。
気分転換だ、ニュースからは目を離し…


「… ん？　おい、マジかよ… …」


ふと目を通したランキングには、知った名前が幾つか。
中にはそれを当然とも思う様な名前もあるにはあるが、意外だったのは…


「何だァ、思ったよりもやるじゃねぇの？
俺ですらこんなに活躍した事は滅多にねぇぜ… マジでよ。

… アンタが思ってるよりゃ、向いてんのかもなァ。
この仕事を勧めてどうなるかと思ったが、これならまだ安心できる… か？」


当の本人の思いとは裏腹に、少しだけ肩の荷が下りた様な心持ちだ。
その当人といえば… … 今ここで語る事ではないだろう。

もう一つ気になる名前もあった気がするが、それも調査すべきだろうかと考える。


一旦、携帯端末を置き… コックピットのシートをリクライニングさせて半ば横になりつつ。
今度こそ、小休止だ。ちなみにリクライニング機能は、改造してつけた。


「… さァて…
この探索、どういう結果に着地するか… どう思うよ、兄弟…？」


独り言の様に、目の前のモニタに投げ掛けるのだった…




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《日誌-５》 セティア・ラムサス 記


… 結局、私はいつも通り撃墜されてしまって…

しばらく、うなされて寝ていたみたいです。


けれど… 何なんでしょう、これ…？


？ … ？？　… … ？？？？

えっと…？ 私は今、フシギな事象を目にしています…

こんなの、あり得ません。何かの、間違いでしょう…？


【今回の収入ランキング】

19:セティア＝ラムサス


【累積収入ランキング】

27：セティア＝ラムサス


【防衛戦果ランキング】

7：セティア＝ラムサス


【総合戦果ランキング】

9：セティア＝ラムサス


あの… あり得ませんって。
何かの間違いではないのですか…？？


… ぁ、わかりました！


アレですね？
きっと私と同姓同名のヒトが実は登録していて… …



（じっくりとリスト確認中）



… … 居ません、ね…？ じゃあ、これって…？


だって、私… 撃墜されてるだけで… 何も…？


！！


…　あっ、わかりました！ きっとそうです！！

このお仕事をしていて、こんな話を聞いた事があります。


何でも、戦場に自分と同じ姿と機体の『残像』というのが現れるとか。


中には当人よりもすっごくイイ動きをする残像もいるみたいで…


そう！　そうですよ！！


きっと、私とその『残像』が勘違いされてるんですね！？


だって、私にはそんな実力ないですもん… …



… ぁ、でも…


そうなると、いつかはそんな『残像』と鉢合わせて戦わなきゃ…？？


いやぁぁ、怖いです…！


そ、そうならない事を願って… … …


あっ…


（時計を見る）


いっけない！？
次の戦場は色々と勝手が違うから、セッティングを… …


修理も出来てなかった、いやぁあぁぁっ…！！


こんな事してる場合じゃない… 急がなきゃ…！　

急いで、やりましょ…！

移動型ガレージ。
この手の機種は本来、フリーランサーの稼ぎでは手が届きにくいとされている。
設備も上質な品が揃っており、これを調達するための金の流れに妙なものを感じるかもしれない。