ENo.0065　夜明けの口笛吹き

人を殺すのが好きだった。
人に殺されるのも好きだった。
戦場が好きだった。死に物狂いの戦士たちが好きだった。
死にかけの兵士を生かそうとする看護兵が好きだった。
皆、必死だった。必死に戦って、必死に生きていた。
そこに輝きがあった。そこに真実があった。
そして我が天使、フローレンスがいた。



私を悪だと糾弾する声はずっと昔から存在した。
私が在るとき、戦場が在った。私は誰よりも人を殺した。
だから、そういう声が生まれることは当然だった。

だが、皆死んだ。皆死んで、私だけが生き残った。
なぜか？ 私は不死だからだ。正確にいえば死ぬけれど、それを克服できる。
私の弁は常に正しかった。死人に口なしだから。


私は死に対する強い渇望があった。
無限に等しい時間が、私は恨めしかった。
無為に過ごすには長すぎる。何かを成さなければ、私は永劫死に至ることはないのだろう。
これは神から与えられた試練なのだと思った。

死という重りがない私は、ただひたすらに軽かった。
何かを成すには、重さが必要だった。賭けるものが必要だった。
私にはそれがなかった。

私は死にたかった。



死はあらゆる生物に与えられた権利だ。
そして義務でもある。
実際、生物の死にざまは美しかった。
死ぬ間際にこそ、生命の煌めきがある。私はどうすれば死ねるだろう。


そうして思い至ったのだ。
たとえ蘇るにしろ、心から〝死にたくない〟と心から思える盤面が用意できれば。
どうしても離脱し難い状況が生まれれば。

私はきっと死ねる。死ねなくても、死ねる。

Cafe ＆ Maintenance Mer-Millia

巨大樹木の中から、機械の大百足を探せば良い。
その樹の足元に、腕のいい整備士――あるいは料理人のいる店があるのだ。

カフェ＆メンテナンス『メル・ミリア』は、今日も密やかに営業を続けている。
禁忌戦争を生き抜き、霧とともに消えたとされたハイドラ大隊から戻ってきたと噂されている店主は、もはや多くを語らない。ただ、樹木に絡みつくように“眠っている”機械の大百足は、その時の店主のウォーハイドラだとされる。
時々たまに、思い出したように起き上がって、生きているかのように周りを歩き回るのだという。だから、この辺の木の根は金属の多脚にずたずたにされてしまって、あまり真っ当には育たないんだそうだ。店主はそう言って笑っていた。

今日のおすすめは、禁忌戦争で破壊されたと言われる要塞のひとつを模した店主手作りのケーキ。

！店および店主（ENo.7サブ）の既知可　4期既知（ENo.4）も可
！ユニオンに参加せずメッセで利用する体も歓迎
！ロールするキャラを推奨するかも

細かいこと：http://midnight.raindrop.jp/decoherence/union.html

（整備極ユニオンです。購入はユニオン主の独断。）