ENo.0282　ダレル･D･ディーキン

「何でもいいから記録を付けろ、遺すものを作れ」

そう言い聞かせようとしていたのは、誰の言葉だったか。

次の出撃までの時間を潰そうと、考えていた際にふと思い出した言葉だ。
その結果がこうして、ペンをとって暇をつぶしている訳だが。

されど、書くことなど特に思いつかない。
仕事はこれまでと変わらず、誰かに雇われて霧の中の戦場へと潜り込むだけ。


ああ、だが変化がないわけではない。
新しい僚機と組むことになった、

名は確か、ヴィンス。ヴィンス・ナイトレイ。
まだ戦場に慣れない身らしいが、さて、どこまで生き延びてくれるものか。

何を思って戦場に足を踏み入れたのかは知らんが、
僚機として組んだのだ、死なれたら手続きだの色々面倒くさくはある。


……とはいえ、幾ら気を引き締めようとも、幾ら準備をしようとも。
死ぬときは死に、生きるときは生きる。

それは僚機だけでなく、俺も同じこと。


だが、生きようが死にようが。
これからも、この先も。ここにある意味など。

「えーっと今回はセクション攻略戦ですね」
「情報が錯綜していて……デバステイターに関する情報も解読が間に合っていないようです。古文書？にはあったらしいんですけど、僕らはこちらでは新参だからデータベースの蓄積も浅いですからね……」
「各戦場、十分注意していきましょう」

「あ、ファティマさんがご活躍されてるコロッセオ、盛況でよいですね！こうして宣伝していただけると僕らも助かりますし」
「オルトくんところから出してるレーダーの売れ行きもいいみたいで！バンバン売っていきましょう！」