ENo.0147　フェティヤ・クェリフィート

***

「……どの位経った？」

「7週……8週くらいかな。大体その位だと思う」

「そう、ありがとう。今日の夜は……どうしようかしら」

「……」
「君が参っちゃってどうするんだよ！君は龍、その血筋だろ？強く気高いんだろ、なあ」

(かぶりを振る、温厚そうな男性)
(その耳は長く尖っており)


「……理解はしているわ。ほら、いつも通りじゃない。いつも通りの母さん」

(髪を撫でる、落ち着いた風貌の女性)
(その足は鱗で覆われていて)
(その背には、大きな翼があった)


「でもこんなに見つからないと、もう」



「……フェティヤ」

***


周りじゃ、イジョウキショウだかロケットだかなんだかで忙しいみたいだ。
ネコさん……だっけ。そのヒトたちが作ってるハコブネには興味あるけど、それ以外はあんまりない。
ハコブネ、モーヴェのフネみたいなやつなのかな〜とか。
よくわかんないメッセージも、半分聞き流してたようなもんだもん。

……オラシオンってのはスゴくカッコよさそうだし、強くなれそうだけど、だって……それで家には帰れないんだろ？

ハコブネに乗れたって、行先はおれの家じゃないし。
どうやったら帰れるんだろう？



まあそれは置いといて今日は……エッチナホンってのを読んでた。
広域で売りに出されてたのを、ちょっと気になっちゃってショウドウガイ。
倉庫がいっぱいになっちゃうから、控えてたんだけど……まあひとつくらいイイよな！
ちゃんと整理もしたし。

それで、読んでみたんだ。
ヒトコトだと、よくわからなかった。
服きてないねえちゃん達がへんなポーズしてるんだ。全然わかんない。
魔術書でもないみたいだし、うーん……

……そうだ！最後の方には、ハイドラのシャシンがあったぞ！
これは分かった。カッコよかった〜……色んなハイドラのシャシンがのってたんだ、おもしろかった！
そこだけ切り取っておこうかな……


明日も頑張ろう。

壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが……無い。何処かへ消えてしまったかのようだ。
ある一人の幽霊が、それについて聞かれるとニヤリと笑う。




「どこだと思う？メテルカならわかんじゃねえかな。」