ENo.0034　アンフィニ&許多

大変なことになりました。
スミスさんから、故郷英国の政府要人関係者を誘拐犯から奪還したものの
いまも囮を引き受けて敵から追われているという連絡が突然入ってきました。
帰還してきたスミスさんの機体「モスキート」には英国国防大臣の
御令嬢だという女性、マックルランさんが乗っていました。
それからはスミスさんと連絡が取れなくなっています。
マックルランさんはいま警護のためマノ残像領域支社の建物から一歩も出られない状態です。
気丈に振る舞ってはおられますが、人目が離れたときにだけ重いため息をついておられます。
本社にとってもこのことは青天の霹靂だったそうですが、
迅速に英国産のマーマイトなどを手配してもらえました。
せめて彼女には、普段の生活に近いお食事だけでもとっていただければと思います。

他国の政治にも関わる非常に重大な事態だからということで、
マックルランさんの警護とスミスさん救援に関しては本社の指揮のもとで対応に当たるよう指示が入り、
援軍として最も経験豊富なハイドラライダーが動員されてきました。
つまり――禁忌戦争での実戦経験がある、ルオルカさんと兄さんです。

また兄さんと戦場に出られるのは非常に心強いのですが…
禁忌戦争の頃とは環境が違いすぎます。
急遽手配できたパーツだけで筏さん（ジャンガーダ）がどこまで動けるかが、スミスさん救援の鍵になるでしょう。

(Special Thanks：
Eno.136 エマニュエル・スミスの兄貴
　　　　ファレン・マックルラン嬢/@TsukumoShiki)

ディスプレイはいつも通りデバステイターの情報を表示しているが、画面上の宿禰は物憂げな様子である。
「エマさん、心配ですよね、というか……」
少し言いよどむ
「えっと、先ほどモスキート…が帰投したのですが、その、なんというか……」
「う～～～ん、やっぱり本人から説明いただいた方がいいですね、よろしくお願いします」
画面は切り替わり、格納庫内のモスキートが映し出された。