ENo.0382　トレーニィ

調査報告の書類から顔を上げると、
ディヴィン君が自立式ロボットアーム『片腕君』と指相撲をしている所でした。

今日みたいに配達と同時に休憩に入るような日は、
ディヴィン君はいつもより少しだけ長くドックに留まっていきます。
そしてそんな時は大体、片腕君を構いたおしていくのです。
触れ合いは握手から始まりハイタッチ、恋人繋ぎ、じゃんけん、腕相撲などなど。

楽しいですか、と聞いてみたら、レニちゃんのおかげでね、と笑われました。

「レニちゃん、俺がこの子としてみたい事、大体実現してくれるからさー」

「整備の息抜きに丁度良くて。次の配達日も期待してくれて良いですよ」

「まじで。やったー」

うちの子との触れ合いを楽しみにしてくれるのは、嬉しいです。
ダイナさんは「もっと先にやるべき事がある」とか言って全然構ってくれませんし。

「次はですね、『はいあーん』で行ってみようと思うんですよ」

因みに声はダイナさんです。

無許可ですが、と続けた頃には、
ディヴィン君が指相撲の勝負に負けたまま机に突っ伏していました。

レニ、ディヴィン君の笑いの沸点の低い所、大好きですよ。

色々なものが、あちこちばらばら転がっている。
どこに何があるか、部屋の主は把握している、らしい。