ENo.0005　パアム・ライザ

「……ふむ」

ガレージの前に、包装されたハイドラパーツがある。
エンジンだった。しかも、元手がタダの。

主要の5勢力以外は遺跡探索から撤退し、遺跡の中からは、5年前を彷彿とさせるほどのドゥルガーが現れ、探索を阻む。
金目的か、スリルジャンキーかは分からないが、脱出装置を備えずに、無理をして戦闘を継続した者が、次々と残像領域の藻屑と消えていると聞く。

だから、探索の費用は有事に備えて、多いほうが良い。安価でパーツを備えられたら最高だ。

そんな時、パーツが一つ、送られてきた。使い古しではあったが、性能が良く、十分使える程度のエンジンだ。
普段なら両手を上げて喜ぶところだろう。実際、何も考えなければそのまま受け取ってしまうだろう。

しかし、送り元が問題だ。差出人名にかかれていた名前、それは僚機の名前であり、そして

「……借金が増えた、ということでしょうか」

借金の、債務先だ。

これは何だ。単なる善意だと考えたい。
しかしもしも、を考えた時、これはつまり、押し付け詐欺、送りつけ商法というものではないだろうか。
既成事実を作り出し、借金によってがんじがらめにすることで、私を買い取ろうとする魂胆では無かろうか。

「……いやいやいや、無いですよね、流石に」




その後数日間、玄関先にパーツを鎮座させたままにしていたけれど、結局ハイドラに組み込んだとさ。

これがどういう魂胆なのか、未だ分からない。

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それは大きな倉庫。―――ただし外部から何か引きちぎられたような跡がそこかしこに見て取れます。

外からひとまずの補修がされており、ハイドラの整備施設などが備え付けられているようです。

また、倉庫の脇には、油臭いパイプベッドが備え付けられたバラックが存在しており、時折、珈琲の香りが漂ってきます。
「……もうちょっと居住性高めましょうか。」



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