ENo.0398　“Neon”

　
「ブースター、みっつも積むの？」


調整のために“Neon”のパーツを弄り回すグランの傍ら。
その手元を覗き込みながら、アウラが問いかける。
今取り付けているのは、みっつめのそれ──ではなく、いわゆる『腕』だ。

まず最低限として、リロードが必要なため腕か砲塔。できれば射撃体勢がほしいので腕か術導肢。
これまでは砲塔と術導肢でそれぞれバラバラに補っていたところを、腕ならどちらも賄える。
術導肢を取り付けていた『前足』を、腕相当の演算・リロードを兼ねるパーツに。
砲塔を下ろし軽くした分、ブースターを積んで──


「これで更に速くなる。……その分装甲は薄くなるけどな」
「でも、軽くなった分だけ霊魂律動を頼りにできる？」

ちらりと視線を隣にやる。
ふふん、と鼻を鳴らしそうな、いかにも得意げな顔がそこにあった。

「………正解」
「ふふーん！」

思った通りの返事が返ってきて、小さく息をつく。
自由気ままで面倒な相方ではあるが、単純な分行動原理はわかりやすい。
……もっとも、『楽しいこと』を基準に動く彼女のリードを完璧に引けるかと言えば、難しい話ではあるのだが。


「火器もパルスＢを試してみるのよね？　どんな撃ち味になるか楽しみ！」
「速くなる分当てやすくもなる」
「ヒュウ！　グランもネオンも、だーいすき♡」
「…………はーぁ……」


まったくもって調子がいい。
深々と息をつきながら、ぽんと機体の表面を叩く。
この火の玉娘をフォローするためには、“彼女”にも頑張ってもらわねばならないだろう。


「あとはツクモガミのじいさまに見てもらうとするか」

整備部の長老にひと撫でしてもらえば、“彼女”も機嫌よく走ってくれるだろう。
……さて。
“ふたり”のお嬢さん方のお気に召す動きが、できればいいのだが。

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