ENo.0147　フェティヤ・クェリフィート

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「おれがモーヴェを……ほう、むる？」

それは聞いたことのないことば。
もしも自分がここにいなかったのなら、一生聞くこともなかったかもしれないことば。

頭が熱くなる。ふざけるんじゃない。
モーヴェがいなくなるなんて考えられない。それは誰だって同じだ。
だれがいなくなったって、自分はきっと想像がつかない。

「……なら、おれは帰んない。ほうむるなんか、絶対にしてやるもんか。ずっとず～～っとそばにいてやるもん。
にいちゃんが……ずっといてやるもん。燃やすなんておれが死んでもやらない」

『帰るはずだった道を投げ捨ててでも、おれはここにいる。居たいからいる』

それはこどものわがまま。
将来を至極簡単に変える、少年の、『兄』としての、

「みんな死なない。エマさんも、モーヴェも、おれも、みんなも。
だから……がんばるんだ。おれは」

決意。

***

壊れてしまった、もはや時代遅れ、彼氏にフラれた腹いせ。
あれこれの理由で積もったジャンク品の山の中。
打ち捨てられたようで、実はとても手入れの行き届いた三段櫂船型ハイドラが……無い。何処かへ消えてしまったかのようだ。
ある一人の幽霊が、それについて聞かれるとニヤリと笑う。




「どこだと思う？メテルカならわかんじゃねえかな。」