ENo.0005　パアム・ライザ

――――――さて。

遺跡探索は順調、と言えるだろう。
他の戦場へと増援として向かえる程度には、戦場に居座り、戦場で戦い、戦場に勝利をもたらせている。
……それが、本業の攻撃でないのは、ちょっと残念だと思うけれど。

さて、後輩を怒らせてしまったから、しっかりと埋め合わせをしないといけない。
今の機体――グルトニーに組み込める物では無いけれど、薄装甲と、霊送箱の確保は着々と進んでいる。
遺跡内の拠点から、ドリフト時のドックへ帰参して、元の世界への帰還準備を進めれば、借金は帳消しだ。
目標が見えて、大分楽になった。……おやつのたい焼きを見るたび、こちらでの借金も返さねばならないことに頭が痛くなるけれど。

機体の整備を終え、新たな装備に更新し、再び見えたその姿はなるほど、前回の純粋なグレードアップだ。
前回はあと少しの所で戦果を持っていかれたが、今回はそうも行かない。

と、次の戦場への期待を膨らませていたその時。ラジオから、慌てた声が聞こえる。

……は？

何？　遺跡が？　パイルダーして？

理解が追いつかない。ついでに言えば、メガリスが混乱して素が出たメッセージを送ってきているから更に混乱。

いやいやいやこんなのどーすれば良いんですか。

落ち着け。落ち着く。いや落ち着けるかこんなの。

今はまだ、電車の中か車の中にいるような感覚で、動きに合わせて少し慣性が付いたりする程度。
しかし、今後どうなるかは分かったもんじゃない。

ようやく落ち着いて出した結論、それは

「逃げるか」
「逃げましょう」

そういうことになった。

@@@
それは大きな倉庫。―――ただし外部から何か引きちぎられたような跡がそこかしこに見て取れます。

外からひとまずの補修がされており、ハイドラの整備施設などが備え付けられているようです。

また、倉庫の脇には、油臭いパイプベッドが備え付けられたバラックが存在しており、時折、珈琲の香りが漂ってきます。
「……もうちょっと居住性高めましょうか。」



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