ENo.0292　ディーヴァ

通信が入る。
･･･知らない相手だ。なんとなく不穏な物を感じてしまうが･･･


⇒応対する
無視する



･･･良く知った声が聞こえてきた。
ディーヴァか？と一瞬思うが、発語が流暢であり･･･彼女が絶対に抱かないであろう、敵意を感じる声であった。



「あら、意外。あまり期待してなかったんですけど。」

「私の言葉は無視したくせに。話はしてくださるんですね。」

「無視したくせに。」



･･･トスカだ。
丁寧さと落ち着いた声でコーティングされていても、それを突き破って刺々しい感情があなたに向かっている。
ふう、と疲れたような声をあげて、トスカは続ける。



「･･･私の事。あの子から聞きましたよね。」

「･･･私たちは、どこにでもあるような廃棄区画の生まれです。」

「名前の代わりに、人々は役割を与えられて。それでも楽しく、幸せに生きてたんです。」

「それが壊れたのが、あの機体。あの子が乗ってる･･･あの機体。事故だかなんだか知らないけど、住処も、いろんな人たちもみんな滅茶苦茶に引き裂いて。」

「･･･私、結構良い立場に居たんですよ。プリマステラ･･･一番星の女優、なんて呼ばれてて。だから最優先で助けてもらいました。」



そして、俯いて、言う。地獄から響いてきそうな、怨嗟の言葉を。



「･･･助かる見込みも無かった、あの子の体をあちこち受け継いで。千切れた声帯を。形の分からなくなった手を、足を。弾けて混ざった内臓を。」

「なのに…　なんで、あの子は、生きて･･･いや、『いる』んですか？」


下ろされた沈黙の幕。口火を切って話の舞台を開くのもまた、トスカであった



「私は、彼女を殺します。」

「ふふ、配役も、内容も全く違うでしょうけど。かつて一番の女優と言われた自負はありますので。」



―――トスカの役割、演じ切って見せます。
その言葉と共に、通信は切られた･･･。



-----------------------------♪

「というわけで」



ふらふらと、ディーヴァのもとへと足が向いたあなたを、なんだかにこやかで楽しそうな雰囲気を纏わせて、彼女が待っていた。

「お月見を　しませんか」



あなたは困惑した。

「♪（寿司の歌が流れている。集中できない･･･！）」
（射撃５　素材＋１）

----------------------------

緩い空調にむき出しのコンクリートと配線。

人間用の火器練習用の的がやや離れた場所に見える。

人数分のイスが用意され、それ以外は壁際に積まれている。

軋む扉を二枚抜ければ、ただ広い荒野と、いくつか点在したジャンクで出来た的。

戦場のジャンクが一時的に集められる場所のすぐ近く。練習にそれらを吹き飛ばせば、幾らか使えるものくらいは見つかるだろう。

人の出入りはそこそこに有るのだが、最近ではえびを見かける。

えびを、見かける。

少し外装が剥げてきたのでディーヴァはそちらの修繕作業を行っている。