ENo.0042　ジル・スチュアート

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バイオ・コクーン戦を終えて、二人はもとの場所へと帰ってきた。
二人で部屋の前まで来ると、少女が先に扉をくぐって、男へと振り返る。

そして――――

「おかえりなさい」

そう言いながら、微笑みかけた。

「……ただいま」

少女に続き男が扉をくぐると、それを待っていたかのようにゆっくりと男に体を預け、胸に顔を埋める。

「……ありがとう。　5年前の私を……救って、くれて」

少女の声は少しだけ震えていた。

「救われたか。……よく頑張ったね」

男の声を聞いた後、少しの間をおいてから少女は離れ、顔を拭ってから男へと視線を向けた。
声を震わせていた少女の顔は、微笑んでいた。

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「……もうすぐだね」

晩御飯中、少女が呟いた。

―セクション6―

それは、ネコも言っていた、ドゥルガーをハッキングして機能停止させるための作戦。
これが成功すればドゥルガーは機能を停止する……そうなれば、残るはセンチネルだけとなる。

「全部終わったら……また、温泉でもいこっか。　ゆっくり休むために」
「うん、いいね。折角だし今度はもっと長居してみようか。家事やらの面倒からも開放されて欲しいし」

頷きながら同意した男は、いくらかおかしそうに笑い返した。

「君がどこかへ行きたいとかあれをしたいとか言ってくれると、何故か嬉しいな」
「そ、そう？改めて言われるとちょっと恥ずかしいな……」
「ああごめん、言い方が良くなかったな」

我儘を言わせたいわけじゃない、と言外に伝えながら、男は頬を掻く少女をぼんやりと見つめていた。

「お互いがいるから、二人で楽しくなれるように考えられる。
　うまく言えないけど、そういうもののありがたみを改めて噛み締めててさ」

それは、ひどく当たり前のこと。だけど、少女は何度もそれを失い、男はそれを知りもしなかった。

「必ず、とはやっぱり言えないけど。改めて、二人一緒に無事に帰れるよう全力を尽くすよ。
　温泉の次は遊園地でも。或いは家でだらだらするのも。」
「……うん。二人一緒なら、きっと楽しいね」
「君一人にはさせない。頑張るよ」

軽く頷きながら同意を示した男に、少女も微笑みながら頷き返す。



「……絶対、だよ」



その声は、少しだけ寂しそうだった。

16回日記後の内容を後ほど掲載します。（時系列は15回戦闘結果→16回日記→本文→16回戦闘結果）

https://www.dropbox.com/s/0z0ynse3rg75tts/16_greywolf.txt?dl=0