ENo.0136　エマニュエル・スミス

エマニュエル「やれやれくたびれたぜ。さっさと整備を済ませて寝るか」

取り寄せておいたパーツ一式をリフトで構内運搬する。
『モスキート』専用に拵えた高火力ブースター。より装甲が厚くなった変形機構中多脚。
新しいパルス砲と装甲。それと大量のミサイル弾。

エマニュエル「ん？なんだこりゃ、操縦棺の一部が破損してるじゃあないか。修理しそこねてたか」

損傷具合を確かめる為に穴の深さを測っていると、奥の方からパネルのような鉄板が出てきた。

エマニュエル「あーあー結構ご機嫌にやられちまって……これは、『Lăstun』？英語じゃあないな」

エマニュエル「……待てよ？Lăstun……『燕』」

エマニュエル「そうか聞いたことあるぜ。こいつは革命前まで生産されていたダチアの名前じゃあないか」

　『──……』

システムは静寂を保っている。エマニュエルはパネルを操作し、機体状況を確認した。
テネシィ戦で用いていた『同期性空間稜線転移』はOFFになっている。
試しに最終起動確認のパスワードを初期化し、パネルに書かれている文字列を入力してみた。

　『パスワードを認証。HCS強制脱出装置を停止し、同期性空間稜線転移をチャージします』

操作をキャンセルし、安全装置をかける。
一人きりの操縦棺内で、エマニュエルは静かに呟いた。

エマニュエル「……そうかい。『モスキート』、あんたの本当の名前は『ラストン』」

エマニュエル「──ルーマニアがあんたの故郷だったんだな」

「どうでしょうか皆さん！評判と運が良ければ製品として採用もありますよ〜。缶詰のアレンジレシピ担当の人がネタ探しで虚ろな目してたんで」
「あっストラフさんは手際よく魚とポテトを揚げ始めましたね。フィッシュアンドチップスでしょうか」
「何やら完成品の前で腕を上げて……？！！高いところからハーブソルトをふりかけている！どこからともなく装着したサングラスも相まって中々の芸術点が感じられます」