ENo.0398　“Neon”

　
「ねえ、今度はもうちょっとぶっ放せると思う？」

問いかけると、グランはさて、と瞼を伏せた。

「こないだは不完全燃焼！って感じ。もっとバンバン撃ちたかったわ」
「まったく撃ててなかったわけじゃねえだろ」
「それはそうなんだけどー……」

そういうグランだって、ろくに“Neon”が走る時間がなかったのを残念がっているのは知っているのだ。
表情の薄いこの青年は、慣れれば存外にわかりやすい。

「今回はまあ、ストレートに前回のバージョンアップだな。
　想定通りの挙動をしてくれるかどうかのテストくらいはしたいところだが」
「こっちの術導肢は？」

新しく買った薄装型術導肢を指さす。
……こちらを装備する様子はないように見えるが。

「前の型に戻す時用の。次に同じようなのが売れてるかはわかんねえからな」
「……いぬグッズにお金を惜しまないひとだ……」

うわー、と呻く。
実際戻すかもわからないのに、わざわざ出費したわけだ。
マーケットでの買い逃しが後々大きな後悔になるのは、確かにアウラにも覚えがあるが。

「ほっとけ。……さて、リベンジと行けたらいいんだがね」
「ねー」

同意を返しながら“Neon”の鼻面を撫でる。
7mはある巨大な機械犬は、おとなしい犬そのものの様子でアウラの手に擦り寄った。

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