ENo.0176　カヴネル・レビン

オレは飛び交うバイオ兵器の間を縫うように飛ぶ。
敵と味方が交わす霊障によって、戦場に漂う電磁波は加速度的に濃くなりつつあった。

行く手を阻むバイオ兵器の群れに向かって、オレは果敢に武器を振るい続ける。
異変が起きたのはその時だ。突然、全身に力が入らなくなってしまったのだ。
何なんだこれは？　魔力が、抜かれて――違う。どんどん吸われている！？
一体何が！？　どうしたんだよ、相棒！

コントロールを取り戻せないまま、相棒は情け容赦ない霊障の雨に打ちひしがれ、たちまち操縦棺の中にアラート音が響いた。
HUDに表示される同調率は急速に上がり始め――そのまま100％を突破する。
（こ、このタイミングで…！？　待て待て待てッ！！）
オレは慌てて強制的に魔力式精神感応システムを強制終了…しようとしたときには、時既に手遅れ。

「あああああぁぁぁぁぁっ！？」
相棒の腕が、嫌な音を立てて壊れた。
最悪だ。早くハンガーに帰って寝よう…。
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連戦によるEN切れと、機体の疲労。それが『ライトニング』の不調の原因だった。
最近は激戦続きだ。パーツの酷使はやむを得ない事情だが、本体までもが壊れてしまったら、元も子もない。今週のテストフライトは控えてやらねえとな。
オレもかなり疲れているのだろうか。…これがホームシックってやつなのか？

迫る最終決戦の刻（とき）。この手を『空の終わり』に届かせるまで、オレは諦めねえ。

ゴミ箱には、びりびりに破れて紙くずとなった、マテリアルベルトからの請求書が突っ込まれていた。

［説明］
飾り気のない格納庫。その奥には、黄色い機械仕掛けの竜が佇んでいるという。
拠点として利用したいなら、ここの所有者に申し出てみるのもいいだろう。

看板には次のように書かれている。

ここを拠点とする者は、以下の恩恵を受けることができる。
・訓練は基本的に制御のみだ。
・購入は主に追加素材、または機動力強化が中心だ。
・ブックメイクは原則行わない。

オーナー：Eno176