ENo.0136　エマニュエル・スミス

『モスキート』の正式名称『ラストン』。どうやらこいつは冷戦時代のルーマニアで作られた代物らしい。

そういえば聞いたことがあるな。たしかあの時代、あの国は西側と東側、両方にパイプを持っていたと。
レバノンの旧体制ともズブズブだったくらいだ。軍拡の為か、はたまた別の政策の為か……いずれにせよこの機体はそういった輩の欲望が詰まっていると見て間違いないな。

《同期性空間稜線転移》……おそらくこの機能もスパイ活動に使われていたものだ。
しかしなぜそんなものが積まれた『モスキート』がこの残像領域で廃棄されていたのか、疑問は残るな。
テネシィが同じ型の機体を集めていたのも気になる。こんな事ならルオルカが壊すまでに一機くらい分解すればよかったな。

一応、もう一機分のスペアはあるんだが……あれは俺に万が一のことがあった時、ファレンのお嬢さんが脱出するために必要なものだ。分解するわけにはいかない。
テネシィが欲しがっていたということは、十中八九『ネクタイト』が絡んでいるはずなんだ。
けれどその謎を追えるだけの余裕は今の俺にはない。

まずはオペレーションを優先しなけりゃな。それにしても……気になるな。プロレタリア独裁の遺産がこんな形で手に入るとは……

「いやぁ～お客様が多いと仕事のし甲斐があっていいですね～」
「ファティマさんも報告ありがとうございます！サルガッソ事業所、サルガッソ自体が動き始めてるんですけどまだまだ元気に営業中ですからね。缶詰は好評……っと」
「あーでも大豆肉の方はなんかぼろくそなアンケート来てましたね……まだまだ調整が必要なようです」
「フィッシュアンドチップスかぁ……揚げ物のパリパリ感を残すの難しいらしいので開発部の頑張りどころですね……」
「ところでねこさんすごいかわいいので撮影したいんですけどバグらないように撮るの難しくないですか？」